鉄は安価で比較的加工しやすく、入手しやすい金属であるため、最も利用されている金属であると言えます。特に産業革命以後は産業の中核をなす材料であり、現在においても工業生産されている金属の大半は鉄鋼です。
ただ、鉄は扱いやすい反面腐食しやすいため、腐食を防ぐために鉄自体を保護する必要があります。
鋼材の寿命を計る上で、現在行われている溶射を実環境との相関性が優れているとされる複合サイクル試験にて相対評価を行い、寿命評価してみました。
試験体 | 鋼板3.2×70×150 (JIS H 5802の規定に準拠) |
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溶射法 | ガスフレーム溶射 |
試験体の種類 |
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試験方法 |
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①亜鉛・アルミニウム合金溶射 | 3000時間で赤錆を確認 |
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②アルミニウム・マグネシウム合金溶射 | 6000時間の時点で全く変化なし(継続中) |
③溶融亜鉛めっき | 500時間で赤錆を確認 |
溶融亜鉛めっき60µm(500g/m²):500時間で発錆。
JIS H 8641「溶融亜鉛めっきの解説」より、溶融亜鉛めっきの大気中での耐用年数の求め方で下記耐用年数が求められる。
推定耐用年数 | 500g÷40g/年×0.9(安全率)=11.25年 *腐食速度40g/年:重工業地帯の最大値 |
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亜鉛・アルミニウム合金溶射100µm+封孔処理1回:3000時間で発錆。
実耐用時間 3000時間×0.9(安全率)=2700時間
対亜鉛めっき 2700時間÷500時間=5.4倍
推定耐用年数 | 11.25年×5.4倍 ≒ 60年 |
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複合サイクル試験結果より、溶融亜鉛めっき及び亜鉛・アルミニウム合金溶射皮膜との比較ではありますが、過酷な環境下でもアルミニウム・マグネシウム合金溶射皮膜厚さ150μm+封孔処理が施工されれば100年以上の耐久性があると考えられます。
100年後の未来は私たちの目で見ることはできませんが、私たちが手掛けた数々の製品たちがその未来で活躍していることを思いながら、日々取り組んでおります。
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